FX外国為替取引投資の基礎知識と始め方!

FX外国為替取引の仕組

 
「東京外国為替市場」というと、どのようなイメージがありますか? よくいわれるのが、「テレビなどで紙を放り投げている人」とか「モニターが並んでいる所で忙しくしている人」などですが、実際にどのようなことを行っているのか意外と知られていません。

「為替」とは現金の輸送を伴わないで債務・債権を決済することです。「為替」という言葉は、交換を意味する「交わし」がなまったものといわれています。そして、国内同士の取引を「内国為替」、海外との取引を「外国為替」といいます。

そして私達にも身近であり、これから話を進めるのが「異なった通貨の売買を行うときに使われる交換」としての「FX外国為替」です。この「交換比率」のことを「外国為替レート」といいます。

商社や輸出入業者は銀行と、また銀行同士では国内外を問わすに直接、または為替ブローカーを通じて外国為替取引を行っています。

例えば海外旅行で米国に行く場合、日本円(以下円)を持っていってもデューティーフリーショップなどごく一部の店でなければ使うことができません。なぜなら米国で使われているお金は米ドル(以下ドル)だからです。そこで手持ちの円をドルに替える必要性が出てきます。手持ちの円をドルにする方法はいろいろありますが、一番手っ取り早いのがドルを扱っている近くの銀行に行って両替することでしょう。実はこれも立派な「売買」なのです。なぜなら円を持って行って、ドルに替えたということは「円を売ってドルを買った」ことになるからです。そしてこのときに使われる交換比率がFX外国為替の取引レートになるのです。

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米国からの旅行から帰った後、余ってしまったドルはそのままでは持っていてもしょうがないので円に替えるとしましょう。その場合手持ちのドルを売って円を買うことになります。このように、皆さんも知らす知らすのうちに実は外国為替の売買をしているのです。

また、ある日本の企業が国内で作った車を米国で売ろうとしたと仮定します。国内にあるものを海外で売るのですから、この会社は「輸出企業」(この逆は輸入企業)です。米国に運んだ車を売る場合、買う人が米国人でも日本人でもフランス人でも通常はドルでお金を支払います。なぜなら米国で使われるお金はドルだからです。売上金を日本国内で利用するには、車の売買はドルで行われていますから、お客さんに車を売って手にしたドルは円に戻さなければなりません。円に戻すには「ドル売り円買い」の操作をします。
p3.jpg一方輸入企業が米国からパソコンを輸入した場合、購入資金はドルで支払わなければなりません。ですからこの場合は私達が旅行に行くのと同じように、手持ちの円を売ってドルを買い代金を支払います。輸入企業の"ドル買い円売り"と輸出企業の"ドル売り円買い≒これは外国為替のニュースなどで「本日の外国為替市場は輸出企業のドル売りに頭が重たく...」という表現などで使われているので、ぜひ頭の片隅においておきましょう。


 
日本円だけを持っていても海外と貿易をしたり投資をしたりすることはできません。手持ちの円をドルに換えたりユーロに換えたりして日常の仕事を行っていきます。個人で外国株を買ったりするときも円だけでは買えません。

通貨の交換をすることを為替といいます。各国の経済状況や通貨の量、金利の差などで交換の比率が刻々と変わります。円の高いときに外国の通貨を買い付けて、円が安くなったときに外国の通貨を売って円に戻すことで売買差益が狙えます。そのようなことは外国為替市場では普通に行われています。

外国為替市場には、株式市場や商品先物市場の取引所のような具体的な取引所はありません。市場の参加者がお互いにレートを出し合いそれぞれ相対(あいたい)で取引をしています。
この参加者のほとんどが銀行であるため銀行間(インターバンク)市場といわれます。このインターバンク市場に対して対顧客市場では事業法人、機関投資家、ヘッジファンド、個人投資家などが参加しています。
p4.jpg個人が外国為替市場に参加することは銀行などの外貨預金などに投資すること以外ありませんでしたが、外為法改正により、個人でも外国為替取引を行えるようになり脚光を浴びるようになってきています。この外国為替市場の総取引金額は1日平均1兆3,000億ドルもあります。取引相手がいる限り売買はいつでも可能です。


 
外国為替市場は、月曜の朝、厳密にはウェリントン・シドニーで幕が開きます。およそ日本時間で朝4時頃(冬時間の場合朝5時)です。その後東京・香港・シンガポールが参加し、欧州・ロンドン市場につながります。香港ぐシンガポールは東京と1時間時差がありますが、彼らもまた東京時間で動きます。そのため東京のお昼は外国為替レートが動かないことが多いです。
p5.jpg欧州・ロンドン時間は、東京と約7.8時間時差があり(冬時間の場合+1時間)、東京の午後4時頃から欧州勢が入ってきます。その後ニューヨーク市場とつながっていくのです。ニューヨーク勢は東京時間の夜9時(冬時間の場合+1時間)ごろ、そして、またシドニー勢は朝の4時ごろに入ってきます。土曜日の朝、ニューヨーク市場が閉じて、長い外国為替市場の1週間が終わります。特に何時から何時までがロンドン時間・ニューヨーク時間という決まりはなく、感覚的にそう呼んでいるのです。


 
通貨には実にいろいろな種類がありますが、ここではます「自国通貨建てと他国通貨建て」について触れておきたいと思います。

「自国通貨建て」というのは、外貨を自分の国の通貨で表示することです。円は1ドル=○○円と表示しますので「自国通貨建て」になります。大体の通貨はこの表示方法を使用しており、スイス・フランやタイ・パーツなども「自国通貨建て」です。

一方、「他国通貨建て」とは、ユーロや英国ポンドのように1ユーロ=××ドルという具合に、自分の国の通貨を基準にドルがいくらかを表示します。

ユーロは1999年1月1日にベルギー、ドイツ、スペイン、フランス、アイルランド、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ、オーストリア、ポルトガル、フィンランドの11カ国が導入した通貨で、それまでは帳簿上のみの存在でしたが、2002年1月1日から貨幣が流通し、現在ではギリシャを加えた12カ国で導入されています。また、英国やデンマークなどでも導入が検討されています。

ユーロ以外の「他国通貨建て」の通貨は、オーストラリアやニュージーランドなど旧大英連邦系に多いようです。なぜなら、米国が現在のように大国を築く以前は英国が世界の貿易中心国として考えられ、通貨である英国ポンドは1945年の第二次世界大戦終了後に設立された国際通貨基金(IMF)でドルが中心的存在になるまで、世界の中心的通貨として考えられていたからです。

また「基軸通貨」(Key CUrrency)という言葉も経済関連の本などに出てくる言葉の1つですが、「基軸通貨」というのは交換レートを提示するときの基準となる通貨です。先の「自国通貨建て」と「他国通貨建て」を思い出してみて下さい。

自国通貨建てのドル/円相場の場合は、ドルを基準にするのでドルが基軸通貨になります。また他国通貨建てであるユーロはユーロを基準にするので、ユーロが基軸通貨になります。

しかし、一般的には基軸通貨というと、その汎用性の高さからドルのことを指します。基軸通貨になると各国中央銀行の外貨準備金として蓄えられたり、'企業で海外との貿易のやり取りに使われるなど重要な役割をしています。しかし、2001年9月11日のあの米同時多発テロ以降「大国米国とドルヘの不安感」が高まり、第2の世界的な基軸通貨としてのユーロの力も強まってきました。けれども、依然として基軸通貨としてドルは世界経済において重要な役割を持っています。

後ほど「円安・円高」についても説明しますが、ここで提案したいのは「ドル」を基準として考える習慣をつけましょうということです。なぜならここでも説明したように、ドルは基軸通貨として世界経済に重要な役割を持っています。普段私達は給料や年金は円で受け取りますし、何かを買ったり売ったりするときも円で取引するため世界中で一番取引されているのが円であるような錯覚に陥ってしまいますが、円はアジア地域の一通貨に過ぎません。 

ドルが各通貨との相関関係の中で売られているのか、買われているのか、あるいはドル/円なら円が弱い結果としてドルが買われているのかなど、ドルを取り巻く環境を頭に入れなければ、ドル/円相場がどのように動いているのか正確に把握することはできません。「そんな難しいことできない。」という方もおられるかもしれませんが、ドルを中心にして考える習慣をつけることによって新聞で国際情勢について読むときなど、今まであまり気がつかなかった世界の力関係などが見えてくるようになります。

例えば、前述の米同時多発テロのように米国で大きな事件が起こった場合は、ドルが各通貨に対して売られる展開となるでしょうし、ヨーロッパで何か起こった場合は、地理的にユーロが売られてドルが買われることになるかもしれません。このときに円を中心にして考えてしまうと、何でドルが売られるのか買われているのかわからなくなってしまいます。

市場関係者はいつも「ドル」を中心に考えています。ですから「上がった」といえば「ドルが上昇」、「下がった」といえば「ドルが下落」したことを推しています。テレビなどでは円を中心にしているので「円安円高」という表現を使いますが、よりマーケットの感覚をつかんでいただくため、今後もドルを中心にして話を進めていきたいと思います。

ドルを中心に考える習慣をつけると海外から見た日本の今の姿などを認識できて、新しい世界が見えてくること間違いなしです。


 
FXのビッドとオファー。聞き慣れない言葉かもしれません。円をドルに替えることを「ドル買い(円売り)」、ドルを円に替えることを「ドル売り(円買い)」といいます。このときに1ドルを何円で替えるのか必要になってきますが、そのときに用いる交換比率が外国為替レートです。

テレビなどで「現在、外国為替市場は121円20銭から30銭の間で取引されています。」というのを耳にすることが増えてきました。マーケットではドルを中心に考えられているので、このドル/円相場の場合、正確にいえばドルの買値が121円20銭、ドルの売値が121円30銭ということです。

FXではこの買値(ドル買い円売り)のことを「ビッドBid」、売値(ドル売り円買い)のことを「オファーOffer(またはアスクAsk)」と呼びます。実際の取引においてこのレートでドルを売りたい人は、ビッド(ドルの買値)である121円20銭で取引をすることができますし、このレートでドルを買いたい人はオファー(ドルの売値)の121円30銭で取引することになります。

またこのようにビッドとオファー両方のプライスが出されることを「2ウェイ・プライスtwoway price」といいます。外国為替市場では、この2ウェイ・プライスが基本になっています。

テレビのキャスターが、ロイターなどの情報端末を見て「ニューヨーク市場の円相場は、現在121円20銭から30銭の間で取引されています」という表現をしますが、これは間違ったいい方です。本来は「120円20銭で買いたい人と30銭で売りたい人がいます。」ということなので、正確には「ニューヨーク市場の円相場は、現在121円20銭-30銭です」というべきでしょう。


 
一時期朝刊に入っていたチラシを見ると「円高還元セール」という文字が踊っていた頃がありました。「円高だとなぜセールになるの?」と思った方もいるかもしれません。

例えば1ドル=120円が1ドル=110円になった場合、「円高」でしょうか?それとも「円安」でしょうか?「120円が110円になったんだから円安でしょ。」と思った方、答えは「円高」です。1ドル=120円のとき、1ドルの品物を買うのに120円が必要です。しかし1ドル=110円になれば、120円のときよりも10円安い110円で1ドルの品物が買えるのです。

つまり安く買える分、円の価値がドルに対して高まった(強くなった)ということなのです。このように円の価値が高まることを「円高」、同時にドルの価値が円に対して下がる(安くなる)ことを「ドル安」といいます。逆に1ドル=110円たったものが1ドル=120円になったときは「円安」「ドル高」になります。

例を挙げると米国にある有名宝飾店ティファニー社のハート型シルバーペンダントをニューヨーク旅行のお土産に購入するとしましょう。値段を仮に130ドルとします。日本円に換算すると1ドル=120円の場合、130ドル×120円=15,600円で買うことができます。しかしこれが1ドル=130円になると130ドル×130円=16,900円になります。差額は1,300円。お昼のお弁当代2回分といったところでしょうか。どう考えてもドル安円高のほうがお得です。

もっともFXでは、「ドル安円高」または「ドル高円安」といっても基準となる為替相場があるわけではありません。ある時点のFX為替相場と比べて「ドル安円高」または「ドル高円安」なのです。


 
1、貿易収支
貿易収支とは海外と商品の取引をすることによって生じる収支のことで、輸出が輸入を上回って貿易黒字が増えると海外で売った商品の代金を円に替えるために、米国との場合を例にすると、ドル売り円買いが多くなりドル安円高要因になります。一方で輸入が輸出を上回って、貿易赤字が増えると同様に米国との場合を例にすると、商品の代金をドルで払うためにドル買い円売りが多くなりドル高円安要因になります。
 
2、景気
日本の景気が良くなれば海外からの日本の株式などへの投資が増えます。日本での投資を増やすには円が必要になるので、円が買われて強くなります。一方で日本の景気が悪くなれば資金はより高い利益を求めて海外に流れます。日本の株式が下落すれば、日本株を売って米国への投資に切り替える人も出てくるでしょう。すると円が売られドルが買われやすくなるのでドル高円安になります。
 
3、内外金利差
国内金利が海外の金利より低い場合、外貨での運用が増えます。例えば日本よりも米国の金利のほうが高い場合、ドルで運用をするのにはドルを買って円を売る必要があります。この場合、ドル高円安になります。

4、投機
単に為替差益だけを狙った取引のことをいいます。代表的な例としてはヘッジファンドが挙げられます。一度に巨額の売買を行ってときには、外国為替市場が大きく変動することもあります。このような人々を「投機筋」とも呼びます。

5、テクニカル要因
1,2,3,のようなファンダメンタルズ(経済諸条件)と呼ばれる要因によって変動するのではなく、各種データを基にテクニカルチャートなどを駆使した取引によって相場が変動することです。

6、国際情勢
戦争、テロなど。 2001年9月11日の米同時多発テロはそれまでの大国=安全である米国のイメージを大きく覆すものとなりました。また要人の死亡やクーデターも変動要因となることがあります。

7、噂
相場が介入懸念や戦争懸念など何らかの緊張状態にあるときに、出所不明の噂が駆け巡ることがあります。その場合、事実がわかるとすぐに元のレベルに戻すことが多いようです。

8、要人発言
各国首脳や金融当局者の発言により、相場が大きく変更することかあります。特に米国関係者の発言は市場に多大な影響を与えます。このような各種要因が複雑に絡み合って、相場は変動しているのです。


 
外国為替市場は株式と違い、実際に取引所があるわけではありません。株式は証券取引所で売買をするので取引所取引、これに対してどこかの取引所で売買を行うのではなく、取引所は存在せすに電話や通信端末を用いて取引することを相対取引といいます。

株式の場合、銘柄(種類)が多いため個々に取引すると流動性が低くなります。投資家や証券会社の取引を1ヵ所に集中させることで流動性の確保、公正な価格形成が可能になるため、株式市場は取引所取引という形態が中心となっています。例えば「△△物産」の株を1000株買おうとして証券会社に仮に同時に電話したとすると、通常はどの証券会社でも同じ価格で購入することができます。株価が655円なら購入金額は「65万5000円十手数料十税金」となります。どの証券会社でも取引価格は同じであるため、手数料やその他のサービス、財務内容などで取引会社を選別するのが現状です。

取引所取引である限りにおいては、日本全国どこで買っても同じ値段となるのです。また一定の値幅制限があり急激な株価の変動や乱高下を防ぐためストップ高やストップ安などのルールが成り立っています。

一方の相対取引である外国為替市場では、取引を行う人同士が1対1の関係で通貨、数量(アマウント)、価格(レート)を決め、売買を成立させます。そのため、時間的な制限もなく、株式のようにストップ安やストップ高などで取引ができないこともありません。