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FX為替相場が動いた事例「人民元の切り上げ」


米中で貿易摩擦が問題化
1994年以来、人民元はドル・ペッグ制を採用して1ドル8.27元あたりで固定されていました。この安い人民元と低コストの労働力を背景に、中国製品は大きな輸出競争力をもったのです。中国政府の経済開放路線も順調に進み、今や実質経済成長率は10%を超える伸びを示しています。

もちろん、中国に生産拠点を移した日本やアメリカ企業にも大きな利益をもたらしました。しかし、アメリカの対中国貿易赤字は1,600~2,000億ドルまで拡大し、双子の赤字に悩むアメリカにとって看過できない事態になったのです。スノー財務長官は、「中国からの輸入がアメリカの労働者の雇用の機会を奪っている」と非難。アメリカと中国の貿易摩擦は、日を追うごとに政治問題として大きくなっていったのです。プラザ合意以前の1980年代前半に、アメリカと日本で政治問題化した貿易摩擦とちょうど似たような状況にあるといえるでしょう。

人民元は固定相場から管理変動相場制へ
2005年9月に胡錦濤主席の訪米が決まると、アメリカ国内では8月にも中国の為替レートがより柔軟な方向に変わるだろうという観測が広まり、人民元は買い進まれました。しかし、市場関係者の意表をつくように7月にドル・ペッグ制からバスケット方式を参照にした管理変動相場制を導入、実質的に2.1%という小幅な切り上げを行ったのです。市場では10%程度の切り上げが妥当と見られていただけに、小幅にとどまった切り上げがアメリカ産業界にくすぶる対中強硬論を解消することはありませんでした。