FX外国為替取引投資の基礎知識と始め方!

FXのミセス・ワタナベって誰?


2007年のある日、東京のインターパンク市場で、ディーラーたちを困惑させる不可解な現象が起きました。インターバンク市場とは、通貨の売り買いをする外国為替市場の中で銀行など金融機関同士が取引する場のことです。

午前中、相場が円高方向に動いていたものの、売買を担当するディーラーが昼食をとってデスクに戻ると、円安に変わっているのです。相場を反転させる何か新しい情報が流れたのかとチェックしても、それらしいものがありません。結局、何が起きているのかわからないまま、この事態に首をひねるばかりです。その後も、このような現象は何度も繰り返され、ディーラーたちの間ではいつしか「魔の昼休み」とささやかれるようになりました。

ところが、原因を探っていくと、驚くべきことがわかってきました。何とサラリーマンや主婦を中心とした個人のFX(外国為替証拠金取引)投資家が、時間のあく昼休みを利用してー斉に円売り・ドル買いの注文を出していたのです。さすがに百戦錬磨のプロでも、個人の投資家が大きなうねりとなって相場を左右させるほどの影響力をもっていたとは想像もできなかったのでしょう。

この現象は海外にまで伝わり、FX投資家を指す「ミセス・ワタナベ」という呼び名まで生まれました。その姿は、為替取引に高度な専門知識やノウハウをもたず、小口の資金を投じている個人投資家といえます。今や、経験豊かな為替ディーラーたちにとって素人にさえ見える「ミセス・ワタナベ」の動向が、マーケットを動かす大きなカとして認識されているのです。