FX外国為替取引投資の基礎知識と始め方!

FXの米ドルはなぜ崩れないのか


ユーロシフトはアメリカ経済の破たんシナリオ
中近東のほとんどの産油国はドルーペッグ制を採用していますが、それに疑問を感じ始めています。その理由は、「ドルが弱い」からです。一方で、ユーロは新たな基軸通貨の役割を担おうとしています。基軸通貨としての米ドルの役目は終わったのでしょうか?

もし、産油国が完全にドル・ペッグ制を見直すとなると、原油価格はドルからユーロ表示になります。すると、外貨準備の少ないアメリカは、原油を輸入するためにドルを売ってユーロを購入しなければなりません。原油の最大消費国であるアメリカが、原油輸入のため大量のドル売却を余儀なくされたら、ドルの暴落は必至。これを防ごうと金利を引き上げれば、米国経済は大打撃を受けるでしょう。

アメリカに出資するサウジアラビアの思惑
最大の産油国であるサウジアラビアの場合はどうでしょうか。外貨準備の大部分をドルでもつこの国は、ドルが暴落すれば大きな損害も被ることになります。また、アメリカが金利を引き上げれば、保有する大量のアメリカ国債の値段は崩れるでしょう。それだけでなく、極端なドル安はアメリカの威信を地に墜とし、中東におけるアメリカ軍の紛争抑止効果が減少する可能性もあります。もちろん、王政維持にとって、この地域の安定は大前提。そこで、サブプライム問題で悩むアメリカの金融機関などに対して、アブダビ投資庁は巨額の出資を行っているのです。

このような背景から、ドルは弱くなったといわれながらも、台頭してくるユーロにその座を明け渡すことなく、世界の基軸通貨としての地位を保っているのです。