FX外国為替取引投資の基礎知識と始め方!

FXの自国通貨建てと他国通貨建て


通貨には実にいろいろな種類がありますが、ここではます「自国通貨建てと他国通貨建て」について触れておきたいと思います。

「自国通貨建て」というのは、外貨を自分の国の通貨で表示することです。円は1ドル=○○円と表示しますので「自国通貨建て」になります。大体の通貨はこの表示方法を使用しており、スイス・フランやタイ・パーツなども「自国通貨建て」です。

一方、「他国通貨建て」とは、ユーロや英国ポンドのように1ユーロ=××ドルという具合に、自分の国の通貨を基準にドルがいくらかを表示します。

ユーロは1999年1月1日にベルギー、ドイツ、スペイン、フランス、アイルランド、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ、オーストリア、ポルトガル、フィンランドの11カ国が導入した通貨で、それまでは帳簿上のみの存在でしたが、2002年1月1日から貨幣が流通し、現在ではギリシャを加えた12カ国で導入されています。また、英国やデンマークなどでも導入が検討されています。

ユーロ以外の「他国通貨建て」の通貨は、オーストラリアやニュージーランドなど旧大英連邦系に多いようです。なぜなら、米国が現在のように大国を築く以前は英国が世界の貿易中心国として考えられ、通貨である英国ポンドは1945年の第二次世界大戦終了後に設立された国際通貨基金(IMF)でドルが中心的存在になるまで、世界の中心的通貨として考えられていたからです。

また「基軸通貨」(Key CUrrency)という言葉も経済関連の本などに出てくる言葉の1つですが、「基軸通貨」というのは交換レートを提示するときの基準となる通貨です。先の「自国通貨建て」と「他国通貨建て」を思い出してみて下さい。

自国通貨建てのドル/円相場の場合は、ドルを基準にするのでドルが基軸通貨になります。また他国通貨建てであるユーロはユーロを基準にするので、ユーロが基軸通貨になります。

しかし、一般的には基軸通貨というと、その汎用性の高さからドルのことを指します。基軸通貨になると各国中央銀行の外貨準備金として蓄えられたり、'企業で海外との貿易のやり取りに使われるなど重要な役割をしています。しかし、2001年9月11日のあの米同時多発テロ以降「大国米国とドルヘの不安感」が高まり、第2の世界的な基軸通貨としてのユーロの力も強まってきました。けれども、依然として基軸通貨としてドルは世界経済において重要な役割を持っています。

後ほど「円安・円高」についても説明しますが、ここで提案したいのは「ドル」を基準として考える習慣をつけましょうということです。なぜならここでも説明したように、ドルは基軸通貨として世界経済に重要な役割を持っています。普段私達は給料や年金は円で受け取りますし、何かを買ったり売ったりするときも円で取引するため世界中で一番取引されているのが円であるような錯覚に陥ってしまいますが、円はアジア地域の一通貨に過ぎません。 

ドルが各通貨との相関関係の中で売られているのか、買われているのか、あるいはドル/円なら円が弱い結果としてドルが買われているのかなど、ドルを取り巻く環境を頭に入れなければ、ドル/円相場がどのように動いているのか正確に把握することはできません。「そんな難しいことできない。」という方もおられるかもしれませんが、ドルを中心にして考える習慣をつけることによって新聞で国際情勢について読むときなど、今まであまり気がつかなかった世界の力関係などが見えてくるようになります。

例えば、前述の米同時多発テロのように米国で大きな事件が起こった場合は、ドルが各通貨に対して売られる展開となるでしょうし、ヨーロッパで何か起こった場合は、地理的にユーロが売られてドルが買われることになるかもしれません。このときに円を中心にして考えてしまうと、何でドルが売られるのか買われているのかわからなくなってしまいます。

市場関係者はいつも「ドル」を中心に考えています。ですから「上がった」といえば「ドルが上昇」、「下がった」といえば「ドルが下落」したことを推しています。テレビなどでは円を中心にしているので「円安円高」という表現を使いますが、よりマーケットの感覚をつかんでいただくため、今後もドルを中心にして話を進めていきたいと思います。

ドルを中心に考える習慣をつけると海外から見た日本の今の姿などを認識できて、新しい世界が見えてくること間違いなしです。